膝蓋骨脱臼(パテラ脱臼)
膝蓋骨というのはいわゆる膝の「お皿の骨」のことであり、これが脱臼する病気を膝蓋骨脱臼といいます。
落下事故などの外傷でも発症することがありますが、多くは先天性の病気で、トイプードル、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャテリア、パピヨン、ダックスフンド、ペキニーズ、シーズーなど小型犬で見られることが多いです。
症状はたまにスキップを踏むような歩き方をする。あるいは正常は歩行と、跛行(異常な歩行)を繰り返す。というような、ずっと歩き方の異常があるわけではなく、正常な歩き方をすることもある(あるいは正常な歩き方をすることのほうが多く、たまに歩き方がおかしい)という症状が特徴的です。
症状が3日以上続く歩き方の異常で、病院で最もよく見る疾患であり、この治療を受けている患者さんもとても多いです。
診断は触診とレントゲン検査で行い、ほとんどの子は麻酔や鎮静剤を使わなくとも診断が可能です。
治療は経度(あるいは初期)の症状であれば内科療法を行います。
具体的にはダイエット、運動制限、関節のサプリメント、場合によっては痛み止めを使います。
ただこれは治るわけではなく、どちらかというと進行を抑える(遅らせる)という路線になります。
症状が重度のものでは手術が必要なケースもあり、この場合その子の症状の重度によって、滑車形成術、脛骨粗面転移術、重層鱗状縫合など複数の手術方法を組み合わせて実施することが多いです。
手術は必要な症例ではもちろん実施すべきですが、可能であればダイエットやサプリメントにより進行を抑え、手術に至らないようにする努力が必要なのかもしれません。