門脈体循環シャント(肝性脳症)
門脈体循環シャントとは門脈(腸から肝臓へとつながる血管)が、一部心臓へとつながる血管に接続し、腸から栄養を吸収し、まだ肝臓で解毒される前の血液が全身に回ってしまって、神経症状を出してしまう病気です。特に食後1から3時間後くらいに神経症状が出ることが多い、少し変わった病気です。
生後4カ月くらいから発見されることもありますが、1歳を過ぎてから見つかることもあり、発見が早ければ手術で治すことも期待できる病気です(ただ発見が遅く、手術が高齢になってからでは、再発することもありうる病気ですので、すべてがすべて手術の適応とは限りません)
いちばん上の写真はアメロイドリングという、問題の血管を閉塞させるための特殊な器具で、中段はそれを装着した後のレントゲン写真です。
下の写真はこの手術で元気になったヨークシャテリアのはなちゃん(仮名)です。こう見えて実は、もう7歳。信じられないくらい性格の良い、めちゃめちゃかわいい子です。
生後5カ月くらいに他院で肝性脳症と診断され、ずっと内科療法(食事療法と薬)で頑張っていたのですが、3歳になり薬でのコントロールができなくなり、腹水がたまり、神経症状が止まらなくなりと、飼い主さんは最後のチャレンジとして、手術をされることを決断されました。
手術の時期として3歳というのは正直おそすぎで、本来は適応ではないのかもしれませんが、飼い主さんの祈りが届いたのか、奇跡的に回復し、今も元気に病院でくるくる回ってくれます。