横隔膜ヘルニア
横隔膜ヘルニアとは、胸とお腹を別ける横隔膜という膜(壁?)が、先天的な問題や、あるいは事故などにより避けて穴が開き、お腹の中の臓器(肝臓や胃、腸など)が胸の中に入ってしまう命にかかわる病気です。
意外と厄介なのが、すぐには症状を出さず、事故から数カ月たってから呼吸困難などの症状を出し始めることもあり、発見が遅れることもままあります。
左の3枚の写真はどれも横から見たレントゲンで、左手が頭側、右手がお腹側です。
この子はまだ若い犬で、1年前に階段から落下したそうですが、特に歩き方や元気に異常がなかったので、病院へは連れて行かなかったそうです。
1年間は特に大きな問題もなく過ごしたそうなのですが、以前に比べると散歩を喜ばなくなった、時々吐くようになった、少し運動をするとすぐに息切れする、などの地味な症状がずっとあったそうです。
ところが夜中に急に呼吸困難で倒れ、瀕死の状態で病院に担ぎ込まれてきて、発見されました。
いちばん上のレントゲンは右側の腹部内臓が胸の中に入り込んでいるのですが、この写真だけではちょっと良く分からないです。
中断の写真は、その後バリウム検査をしたところで、本来後ろ(右側)に流れていくはずのバリウム(白い影)が、胸の中に入って行き、腸が胸の中に入ってしまっていることを示します。この時点で、横隔膜ヘルニアが確定しました。
一番下のレントゲンは手術後のレントゲンで、内臓がお腹の中に戻り、左側の心臓や肺が正常に見えるようになっています。ら肝臓へとつながる血管)が、一部心臓へとつながる血管に接続し、腸から栄養を吸収し、まだ肝臓で解毒される前の血液が全身に回ってしまって、神経症状を出してしまう病気です。
手術にはリスクは伴いますが、放置すれば命にかかわる病気であり、手術を無事乗り越えてくれたこの子は今も元気に走り回っています。